GMAT Verbalテストとは?
試験の出題形式
GMATはMBAの受験で主に使われる数学力、言語力を試す試験です。留学生のみ提出が課されるIELTSやTOEFLなどの言語テストと違い、GMATはネイティブでも同じように提出しなくてはいけないものです。
問題は41問出題され、それぞれ5つある選択肢から正しい選択肢を選ぶ問題で、試験問題は75分で、その制限時間で全ての問題を解かなくてはいけません。
そのうち、言語力を試すテストがVerbal(バーバル)で、英語の文法力を測るSC(Sentence Correction)、英文を読む読解力を試されるRC(Reading Comprehension)、そして論理的思考力が測られるCR(Critical Reasoning)の三つのパートで構成されています。
SCは与えられた英文の下線部に入る正しい英語の文章を選択する問題で、文法的な正しさ(correctness)だけではなく、その英文が冗長ではないか、曖昧ではないか(effectiveness)も同じように問われます。
RC(Reading Comprehension)は英文読解力が試されるのですが、文章の内容、単語ともにかなり難易度が高く、TOEFLやIELTSなどの試験よりも遥かに難解な英文が出題されます。同時に、文章量もかなり多いので、非ネイティブの日本人にとっては最も難易度の高いVerbalのパートと言えるでしょう。
CR(Critical Reasoning)は文章の中の論理が問われるもので、そこまで英文自体は難しくないです。英語力よりもいかにその内容の中の論理を読み取り、その誤りを正しく認識することができるかの論理的思考力が問われます。
GMATの出題範囲
TOEFLより高度な歴史、科学、ビジネスをトピックにした問題が出題されます。
重箱の隅を突いてくる問題が多く、基礎はもちろんですがGMAT向けに慣れが必要になります。
人生で受けた英語の試験のうち、難易度が高い問題だけを選りすぐった試験をイメージしてください。
Verbalで狙うべきスコア
GMATのVerbalは51点満点です。日本人の多くが高得点を取れるMathとは違い、ネイティブと差をつけられやすく、GMATでハイスコアを取るためには、取るべき問題を落とすことなく、ある程度のスコアを取る必要があります。
MBAを受験する人が獲得すべき得点のラインは700点で、そのスコアを獲得するためには、40点以上のスコアを取得する必要があります。その上で、Mathも高得点を取ることが出来れば、700のスコアを越えることが出来ます。
35点を切ったスコアになってしまうと、どれだけ数学でハイスコアをとっても中々700を越えることが難しくなるので、トップスクールのMBA受験生は35以上を一旦目指して勉強するのが良いでしょう。
Verbalで35点~40点は上位20%なので、なんとか対策を繰り返して、そのスコアレンジを安定して取ることが出来るようにしっかりと勉強を繰り返してください。
困難に感じられると思いますが、Mathはある程度勉強すれば安定してハイスコアを取ることが出来るので、GMATでハイスコアを取れるのかどうかは、最後はVerbalの勝負になってきます。
GMATは人生で8回しか受けられないという制限があるため、一度受けてスコアの目標に届かない度に深刻な気持ちになります。それは残りの受けられる受験数が減れば減るほどさらに深刻な気持ちになってしまうので、正しく集中して対策をした上でなるべく早く目標スコアを獲得しておいたほうが安心して、エッセイなどの科目に挑むことが出来るでしょう。
Verbal対策と勉強方法
Sentence Correction – SC
文法力を磨く(Correctness)
SCは文法力が問われる問題がほとんどなので、徹底的に文法力を付けてください。GMATのSCでは問われる文法問題はかなり限られるので、出題される項目に絞って学習をする。そして過去問を解きながら理解が不十分な項目があれば随時補強していくという学習方法がお勧めです。
まずは、高校受験や大学受験の基本的な文法書で基本を身に付けてから対策するほうが、体系的に英語を理解してスコアを上げていけるのでお勧めです。もし、大学受験などで、英文法をしっかり学習したというような人の場合は、最初からGMATの文法対策に入り、復習しつつ弱みを埋めていくというやり方でも良いでしょう。
曖昧さ、冗長性を磨く(Effectiveness)
文法についてはルールがあるので、対策をすれば簡単に伸び、解答するときも自信を持って解くことができるのですが、Effectivenessは、なぜこれを選ぶのかわからないという場合もあるので、非ネイティブには中々磨きづらいポイントです。
時間がそこまでない方は、文法に絞って学んだ上で問題を解いていってください。その中で曖昧さや冗長性が問われる問題もあるので、それらの問題の内容を見ながら、問われるポイントやよく出題されるポイントを身につけてみてください。
出題される割合として文法力が問われることが多いのと、曖昧さ、冗長性はある程度幾つかのパターンに分けられるので、実践で繰り返していくのがお勧めです。
時間がある方はライティングの勉強をするという方法もあります。TOEFLやIELTSのライティングでも、同じように曖昧さ、冗長さも評価ポイントです。なので、それらの英語試験のライティングの対策をし、その中で講師からフィードバックをもらい磨くのが良いでしょう。この時に、日本人の講師ではなく、ネイティブが講師のサービスを使った上で、しっかりと添削してもらう時に、曖昧、冗長な表現はどんどん指摘して欲しいと伝えるのがお勧めです。
単語の暗記
TOEFLやIELTSと同じく、一番重要なのは単語の暗記です。問題の内容が難しくないものでも、単語がわからなければ、さっぱり答えがわからないので、わからない単語がほとんどない状態まで単語の暗記をして試験に挑むことをお勧めします。
TOEFLやIELTSで必要とされる単語の暗記をすれば、ある程度は問題なく読むことが出来るのですが、IELTSではIELTS特有の表現や単語が出題されるので、IELTSの単語帳を一冊終わらせ流ことをお勧めします。
前述の書籍もAGOSの中山先生が著者なので、「iKnow」が有料になってしまった今となっては書籍だけで良いかもしれません。iKnow! なら、英語が身につく続く。リスニング、単語、センテンスなど複数のスキルが同時に鍛えられるので効率的。PC、スマホ、タブレットからいつでもどこでも学習が可能。1分程度の待ち時間も活用できるので、継続しやすいです。
予備校で学ぶ
てっとり早くお金をかけてでもスコアを上げたい方は予備校に通うことをお勧めします。GMATの問題を研究した上で学習する内容が決められるので、よく出る項目や問題を解く上で抑えるべき観点などを効率的に身につけることが出来ます。
ある程度時間があるという人は、GMATはIELTSやTOEFLなどアウトプットが必要な科目に比べて、インプット型でなんとかなるので、お金を節約して自分で参考書やネットの教材を使ってじっくり学ぶのも良いかと思います。
Y.E.S、Affinity、AGOSの中山先生のプライベートレッスンが予備校の講座の中だと特にレベルが高く、安定してスコアを伸ばすことが出来るのでお勧めです。
AffinityはGMATの最新情報と洗練された解答テクニックを教えてくれるので、特にお勧めです。Web講義がどこでもいつでも、自分のペースで勉強できるので特にお勧めです。Y.E.Sは文法にかなり力を入れており、基礎から少しずつ固めることができるのですが、使用する問題が古いことが難点です。AGOSの中山道生先生は有名なアゴスジャパンのGMAT完全攻略の著者でもあり、試験の傾向や対策をかなりマスターした予備校なのでお勧めです。
それぞれ特徴はありますが、どの予備校も高スコアの卒業生を輩出しているため、まずはどこかで授業を受けて、自分に合う予備校を決めましょう。その過程で、講師に相談して基礎固めから入るべきか、発展的なGMAT文法の勉強から入るべきか判断しましょう。
Reading Comprehension – RC
RCの英文は難易度がかなり高く、ネイティブでも読むことに苦労するパターンが少なくないです。さらに、英文の量もかなり多いので、GMATの文章構成に慣れる必要があります。
SCとCRに比べて難易度が高く、勉強してもスコアが中々伸びないことが多いので、お勧めなのはSCとCRに集中して、RCについては過去問を解いて傾向を掴むくらいにしておく方のが良いです。
3-4つの英文で、それぞれ3-4問出題されるので設問数は9-16個です。対策ではなく、本番でもここに時間を割くよりは他のパートに時間を割く方がハイスコアに繋がるので、1-2個の長文は集中して解いた上で、残りの2つはほとんど時間をかけずに解答してしまうのが効果的です。
実際は英文のうち1つは実験問題というもので、正解してもスコアが与えられない問題なので、半分しかとかなかったとしても、その分全体の正答率は高まります。
これに関してはAffinityが一番お勧めできます。倫理的に受講した内容を共有することはできませんが、AffinityのRCを受けてから正答率が飛躍的に向上したことだけ触れておきます。
尚、RCの出題範囲は歴史や社会のような社会科学、物理や化学、天文学のような自然科学、ビジネスの3つのカテゴリが主に出題されます。これらの領域については、最低限の背景知識を付けておくと読むのが楽になります。よく出されるトピックはTOEFLとも近いので、TOEFLの英文対策をして、RCの対策にもするのがお勧めです。特に苦手なカテゴリがある人はそのカテゴリに注力して文章を読むようにするのもお勧めです。
あとは、Financial Times、ハーバードビジネスレビュー、Timesのような難易度の高い英文をしっかりと読み込んだ上で読解量を増やして英文を読む力を上げていくのも効果的でしょう。
出題内容も概要ではなく、重箱の隅のような細かいポイントが問われることが多く、しっかりと細部まで英語を読み込み、理解して答えることが求められます。
ただ、細部を読み込む前に全体を理解する上で、old⇆new、most⇆fewのような対比構造に意識すること。however、but、yet、on the other handのような論理の反転を意味する英語。そして、Hence、So、Therefore、Thusのように、論理構造を意味する表現のように、全体の文章の流れを読み取るマーカーとなる英語を意識して読むことは効果的です。
こちらも独学で進めたい方にはManhattanの書籍がお勧めです。
Reading Comprehension GMAT Strategy Guide, 6th Edition (Manhattan Prep GMAT Strategy Guides)
Critical Reasoning – CR
CRは論理的思考力を図るテストです。読解力についてはそこまで高い読解力は問われず、その文章を論理的に理解する論理的思考力が特に試されます。読解については、IELTSやTOEFLの対策をしっかりして、スコアが取れていれば問題ないです。
勉強する上で重要なのは、単なるテクニックで解くわけではなく、文章の論理展開やAugumentのCPA(Conclusion, Premise, Assumption)、つまり、結論、根拠、仮定を常に意識しながら文章を読むように意識することです。
また、必ず、文章は論理的な明確さを持ってく書かれているため、RCと同じく、論理構造をしめす単語に注意して読むことも効果的です。
Therefore、Thus、So、Henceのような論理を示す単語に注意してロジックを読み取っていくことも重要です。たいていの場合、これらの単語の後には結論(Conclusion)が来ることが多いです。
Because、Since、Given thatような表現はその内容が根拠(Premise)を表すことが多いです。
過去問や予備校で読みながら、どういう論理思考が問われるのか?どういう風に読んでいければスコアが取れるのかを自分のものにしてください。
書籍としては、以下の二冊がお勧めです。
Critical Reasoning GMAT Strategy Guide, 6th Edition (Manhattan Prep GMAT Strategy Guides)
Critical Reasoning Bibleは、海外のGMATに関する掲示板であるGMAT Clubで一番支持が高かった本です。評判通りかなり充実した内容になっているため、読み終わるまでに時間はかかりますが、CRが苦手で丁寧に理解したい方にはお勧めです。
最終的には公式問題集(OG)を丁寧に読んで、論理構成をしっかりと理解することが大事です。
GMAT Official Guide 2019: Book + Online (Gmat Official Guides)GMAT Official Guide Verbal Review 2019: Book + Online (Gmat Official Guides)
Verbalのオススメ教材
問題形式や概要を掴むための教材
まずは、AGOSの書籍がお勧めです。これはMATHの概観を掴む際も同様です。全体のGMATの概要や、それぞれのパートの傾向と対策が細かく書かれており、アゴスジャパンの研究し尽くされた内容が書かれています。
それだけではなく、サンプル問題や練習問題も収録されているため、これ一冊で全体の傾向の把握と対策をすることが出来ます。その上でさらに練習を増やし、弱みをなくしていくために公式問題集などを解き始めるのが良いでしょう。
問題集
Verbalは論理性を問う側面があるため、最終的に公式問題集(OG)以外を使うと感覚がズレ始めます。そのため、CRでも触れた通り、Manhattan、Veritasなどを使ってGMATの問題に慣れてから、OGに移行することをお勧めします。
GMAT Official Guide 2019: Book + Online (Gmat Official Guides)GMAT Official Guide Verbal Review 2019: Book + Online (Gmat Official Guides)
問題を使い切ってしまったために、GMATが公式に発売している過去問を使用していた方もいます。
www.mba.comGMAT® Paper Tests – Set 1https://www.mba.com/exam-prep/gmat-paper-tests-set-1
また、OGは以下の版を境に問題の大幅な入れ替えがあったとのことで、こちらを使用している方もいました。
The Official Guide for Gmat Review
ハイスコアを取るポイント
それぞれの設問の解答根拠を明確にする
GMATは問題を解いていけばいくほどスコアが下がってしまうパターンがたまにあるのですが、その中で一番多いのがGMATはある程度パターンで解けてしまうため、考えることなく、反射的にパターン認識で解いてしまうことです。
重要なのはパターンなのですが、そのパターンは反射的に解答することではなく、しっかりとそれぞれの解答根拠をパターンから選び、その確からしさを確認した上で解答することが重要です。
力を入れる問題と捨てる問題を明確にする
Reading Comprehensionの戦略もそうですが、GMATのVerbalは日本人にとって難易度も高く、Mathと比べてハイスコアを取ることが難しいです。なので、重要なのは、自分がどの設問に力を入れて、どこは捨てる、力を入れないのかを明確にすることです。
試験対策をする中でもそうですし、実際に解答するときにもわからないところや力を入れるべきではないものは、捨てる勇気を持って試験に挑んてみてください。そうすることで、スコアを取れる問題に集中して時間を使うことができ、全体のスコアが上がりやすくなります。
捨てたとしてもGMATは五択なので、5分の1 は正解すると考えてみると、少し楽になるのではないでしょうか。
消去法で間違っている選択肢を消していく
次に重要なのが消去法です。GMATの問題はパターンの問題なので、間違っていて明確に消すことができる選択肢が必ず幾つかあります。そういった選択肢を消していくことで、もし、幾つかの選択肢でどれが正解かわからなかったとしても、選択問題ではる以上、正答率を上げていけることが出来ます。
パターンに当てはめていきながら、正しくない選択肢やグループは一気に消してしまう。その上で絞った選択肢の中から解答根拠を持って選ぶことが重要です。
Verbalは特にEffectivenessは最後はわからなくても、音の自然さや感覚で解くことで、正しい選択肢にたどり着くことができる可能性が特に高いです。
最後に
いかがでしたか?GMATでハイスコアを取る上で最も重要になるVerbalのスコアアップ。日本人はネイティブではない分、力を入れて、英語知識の補強や演習による正答率アップをする必要があります。
最初に問題を見たときは、こんな問題を英語で解くなんて出来ない。と思う人も多いのですが、GMATはある程度パターンで解ける問題がほとんどなので、しっかりと対策をして演習を繰り返してしまえば、問題を見た段階で反射的に答えたわかって正解を選ぶことができるようになります。
自分も試験勉強を始める前はそうなるというのは信じられなかったのですが、試験勉強をしてスコアをとった今は自信を持って言えます。