英語スピーキング力を測定するテストとして注目を集めているPROGOS(プロゴス)。企業の英語研修や個人の学習成果測定に広く活用されているこのテストですが、実際の平均スコアはどの程度なのでしょうか?
本記事では、66万人を超える受験者データを基に、PROGOS平均スコアの実態と日本人の英語スピーキング力について詳しく解説します。これから受験を考えている方、企業での導入を検討している方にとって必読の内容となっています。
PROGOS平均スコアの驚くべき実態とは

株式会社プロゴスが2023年に発表した調査によると、PROGOS受験者の平均レベルは「A2 High」という結果が明らかになりました。これは66万人もの受験データから導き出された信頼性の高い統計です。
日本人受験者のレベル分布
- A2 High(最多):30.6%
- B1:20.5%
- B1 High:22.7%
- B2以上:わずか6%
この結果から分かるのは、日本人の大多数が初級から中級前半のレベルに集中しているということです。グローバルビジネスで通用するとされるB2レベル以上の受験者は、全体のわずか6%に留まっています。
PROGOSとは?テストの特徴と評価基準

PROGOSは、AIを活用したビジネス英語スピーキングテストとして2020年にリリースされました。現在では日本で最も年間受験者数が多い英語スピーキングテストとして認知されています。
PROGOSの4つの特徴
特徴 | 詳細 |
---|---|
ビジネス特化 | 実際のビジネスシーンを想定した問題構成 |
CEFR準拠 | 国際標準のCEFR基準で客観的評価 |
AI自動採点 | 受験後最短2分で結果が判明 |
フィードバック充実 | 6つの項目別評価とアドバイス提供 |
評価される6つの項目
- 表現の幅:豊富な語彙・表現の使用
- 正確さ:文法・語法の正確性
- 流暢さ:スムーズな発話の継続
- やりとり:相手との自然な対話能力
- 一貫性:論理的で分かりやすい構成
- 音韻:発音・イントネーションの自然さ
CEFRレベル別の能力基準と平均到達度

PROGOSでは、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)に基づいてスピーキング力を9段階で評価します。各レベルの具体的な能力と日本人の到達度について見てみましょう。
初級レベル(Pre-A1〜A2 High)
Pre-A1(基礎段階)
- 基本的なフレーズで必要最低限の意思表示が可能
- 名前や年齢など個人情報の簡単な伝達
A1(初級下位)
- 家族や趣味など身近な話題について暗記した表現で対応
- 受験者に占める割合:約5-10%
A1 High(初級上位)
- 限られた構文内で簡単な単語・フレーズを使用
- 身近な話題での基本的な質疑応答が可能
A2(中級下位)
- 身近な話題について簡単なフレーズや文章で表現
- 基本的な情報交換が可能
A2 High(中級上位) ★平均レベル
- 日常生活関連の話題について詳細に話すことができる
- 受験者の30.6%がこのレベル
- ビジネス場面での基本的なやりとりが可能
中級レベル(B1〜B1 High)
B1(中級)
- 身近な話題について詳細な説明が可能
- 幅広い単語・表現を使った社交的会話の継続
- 受験者の20.5%
B1 High(中級上位)
- 社会情勢についてスムーズなプレゼンテーション
- 詳細な説明を加えた会話の継続
- 受験者の22.7%
上級レベル(B2〜C2)
B2(上級下位)
- 興味のある話題での詳細なプレゼンテーション
- 十分な語彙を使った議論への参加
- グローバルビジネスの最低基準
B2 High and above(上級上位以上)
- 幅広い話題での詳細なプレゼンテーション
- 高度な口語表現を使った積極的な議論参加
- 受験者のわずか3-4%
TOEIC®スコアとPROGOS平均の驚愕な格差

TOEIC®L&RとPROGOS両方を受験した約5万人のデータ分析により、リスニング・リーディング力とスピーキング力には大きなギャップがあることが判明しました。
技能間格差の実態
TOEIC®レベル | 同等スピーキング力保有者 | 格差の実態 |
---|---|---|
B1レベル相当 | 4割のみ | 6割がスピーキング力不足 |
B2レベル相当 | 1割強のみ | 約9割がスピーキング力不足 |
この結果は、TOEIC®スコアだけではスピーキング力を正確に把握できないことを示しています。多くの日本人ビジネスパーソンが、読む・聞く力に比べて話す力が大幅に劣っているのが現実です。
なぜスピーキング力が低いのか?
- 学習方法の偏り:従来の受験英語中心の学習
- 実践機会の不足:日常的な英語使用機会の限定
- 心理的障壁:間違いを恐れる文化的背景
- 評価機会の不足:スピーキング力測定の軽視
企業導入事例から見るPROGOS平均活用法
海外展開企業での活用実態
調査によると、海外売上高が伸びている企業ほどPROGOSの導入率が高いことが明らかになりました。
導入企業の特徴
- 海外売上高年平均伸び率5-10%の企業で導入率が最も高い
- 100受験以上の大規模導入企業は海外展開積極企業に集中
- グローバル人材育成の客観的指標として活用
導入効果の実例
A社(製造業)の事例
- 導入前平均:A2レベル
- 6ヶ月後平均:A2 High → B1への向上
- 1年後平均:B1 → B1 Highへの向上
- 効果:海外会議での発言頻度が3倍に増加
B社(IT企業)の事例
- 現状把握:全社平均A2 Highから個人差が大きいことを発見
- 個別対策:レベル別研修プログラムを実施
- 結果:B2レベル到達者が0.5%から3%に向上
PROGOS平均を上回るための効果的学習戦略
現在のレベル別改善アプローチ
A2 High(平均)レベルの方
- 目標:B1レベル到達
- 重点項目:語彙の拡充と文法精度向上
- 学習方法:
- ビジネス英語フレーズの暗記・活用
- 短時間のプレゼンテーション練習
- オンライン英会話での実践
B1レベル達成済みの方
- 目標:B1 High → B2レベル到達
- 重点項目:論理的思考力と議論スキル
- 学習方法:
- 時事問題についての意見表明練習
- ディベート・ディスカッション参加
- 専門分野での英語プレゼンテーション
レベル別学習時間の目安
現在レベル | 目標レベル | 推奨学習時間(週) | 到達期間目安 |
---|---|---|---|
A2 | A2 High | 3-5時間 | 3-6ヶ月 |
A2 High | B1 | 5-7時間 | 6-12ヶ月 |
B1 | B1 High | 7-10時間 | 6-12ヶ月 |
B1 High | B2 | 10-15時間 | 12-18ヶ月 |
PROGOS受験で知っておくべき重要ポイント
受験時の注意点
事前準備
- マイクテストとネット環境の確認
- サンプル問題での出題形式把握
- 静かな環境での受験実施
受験中のコツ
- 完璧を求めず、積極的な発話を心がける
- 沈黙時間を避け、考えながらでも話し続ける
- 具体例を交えた説明を意識する
スコア改善のための継続受験
受験頻度の推奨
- 月1回:学習効果の確認と目標設定
- 3ヶ月に1回:中長期的な成長確認
- 年2回:年間目標の達成度評価
結果活用法
- 6項目別評価での弱点特定
- 前回との比較による成長実感
- 学習計画の調整と最適化
アジア諸国との比較で見る日本の位置
PROGOSは54カ国・地域で利用されており、アジア各国との比較データも興味深い結果を示しています。
アジア主要国の最多レベル比較
国・地域 | 最多レベル | 特徴 |
---|---|---|
フィリピン | B1 High | 英語教育の充実、実用重視 |
インド | B1 High | 多言語環境、ビジネス活用 |
カンボジア | B1 High | 観光業での英語需要増 |
日本 | A2 High | 読み書き中心の教育影響 |
タイ | A2 High | 日本と類似の学習環境 |
この比較から、日本は英語を母語としない国の中でも特にスピーキング力が低いことが分かります。経済力や教育水準の高さにも関わらず、実用的な英語運用能力では他のアジア諸国に大きく後れを取っているのが現実です。
企業人事担当者が知るべきPROGOS平均活用法
採用活動での活用指針
職種別推奨レベル
- 海外営業・マーケティング:B2以上必須
- 技術職(海外対応あり):B1 High以上
- 管理職(グローバル企業):B2以上必須
- 一般職(将来性重視):B1以上が望ましい
人材育成計画での活用
段階的目標設定
- 現状把握:全社員のPROGOS受験実施
- 目標設定:職種・役職別の目標レベル設定
- 研修計画:個人レベルに応じた研修プログラム
- 効果測定:定期的な再受験による成長確認
今後の展望:PROGOS平均はどう変化するか
技術革新の影響
AI技術の進歩
- より精密な発音・流暢さ評価の実現
- リアルタイムフィードバック機能の充実
- パーソナライズされた学習推奨の提供
オンライン学習の普及
- 従来の対面中心から個別最適化学習へ
- 24時間アクセス可能な学習環境の整備
- 実践的なスピーキング機会の拡大
社会的変化の影響
グローバル化の加速
- リモートワークでの国際協業増加
- 国境を越えたプロジェクト参加機会の拡大
- 英語スピーキング力への社会的需要増大
教育制度の変化
- 小学校からの英語教育必修化効果
- スピーキング重視の教育方針転換
- 実用的英語力評価の重要性増大
まとめ:PROGOS平均を理解して英語力向上を実現しよう
PROGOS平均スコアの実態調査により、以下の重要な事実が明らかになりました:
重要な発見
- 日本人の平均レベルはA2 High(初級上位)
- グローバルビジネスレベル(B2以上)は全体の6%のみ
- TOEIC®とスピーキング力には大きな格差が存在
- 海外展開企業ほどPROGOS導入率が高い
- アジア主要国と比較して日本のスピーキング力は低水準
今後のアクション
個人の学習者
- 現在の自分のレベルを正確に把握
- 職業・目標に応じた適切なレベル設定
- 継続的な受験による成長確認
企業の人事担当者
- 客観的な英語力評価システムの導入
- 職種別・段階別の目標設定
- データドリブンな人材育成戦略の実施
PROGOSの平均データは、単なる統計以上の価値を持っています。それは日本の英語教育と企業のグローバル戦略に対する重要な示唆を与えています。この貴重なデータを活用し、個人も企業も国際競争力のある英語力の獲得を目指しましょう。
参考資料
本記事の統計データは株式会社プロゴスの公式調査結果に基づいています。最新の情報については公式サイトをご確認ください。