はじめに
私は以前、従業員数が数百名規模の会社で人事研修を担当していました。海外との取引が増えたため、社内の英語力を一気に底上げする必要がありました。ですが、忙しい日々の業務と英語学習を両立するのは簡単ではありません。コストや学習環境の問題もあり、当初は対面講習を中心に進めていたものの、思うように受講率が上がらず悩んでいました。
そこで注目したのが法人向け英語学習アプリです。オンライン英会話やAIを使ったアプリを組み合わせた研修を導入した結果、多くの社員がスキマ時間を利用して英語の勉強を継続できるようになり、社内全体の英語力が向上した実感があります。私自身も業務の合間にアプリを開き、気軽に英語をトレーニングできました。
本記事では、私の経験も交えながら法人向け英語学習アプリのメリットや導入事例、料金相場、市場動向、そして成功のポイントを網羅的にまとめます。これから導入を検討される方や、すでにアプリ研修を進めているが成果を伸ばしたいと考えている方の参考になれば幸いです。
なぜ今、法人向け英語学習アプリが注目されるのか
グローバル化が進む現在、英語力はビジネスを拡大するうえで欠かせないスキルになりました。とくに海外との取引やインバウンド需要の増加、さらには国際的なプロジェクトへの参加が増えている企業では、社員一人ひとりの英語力が業績に直結する場合があります。
一方で、従来の研修スタイルには次のような課題を感じることが多いです。
- 社内クラス研修や外部語学学校への通学だと、時間や場所に制約が大きい
- 受講者数が多いと全員のスケジュールを合わせるのが難しい
- 一斉授業では受講者のレベル差が大きく、理解度にばらつきが出やすい
- 講師派遣や通学型研修の費用が高く、継続が難しい
これらの悩みを一挙に解決する方法として、法人向け英語学習アプリが注目されています。PCやスマートフォンで受講できるので、通勤や休憩時間などスキマ時間を活かせる上に、コストメリットや学習進捗の管理もしやすいという特長があります。
私の会社でも、オンラインで完結する研修に切り替えたことで、場所や時間に縛られず多くの社員が自発的に学べる環境が整いました。これが英語力向上の大きなきっかけになったと感じています。
法人向け英語学習アプリの市場規模と成長背景
日本国内の英語学習市場は年々拡大しており、オンライン英会話市場は2017年時点では約1,100億円規模でしたが、2021年には2,450億円に達したと報告されています。さらに今後も成長が続く見込みです。背景としては以下のポイントが挙げられます。
- 企業のグローバル化
多くの企業が海外展開を進めており、ビジネス英語を使うシーンが急増しています。海外子会社との連携や外国人顧客対応など、英語が必要になる業務領域が広がりました。 - リスキリングの一環としての英語
経済産業省などが推進する「人的資本経営」や「リスキリング」の流れも後押ししています。英語スキルがあれば、海外案件への参画や新しいキャリアパスを切り開く上で大いに役立ちます。 - オンライン学習の普及
新型コロナウイルスの影響で遠隔研修や在宅学習が普及しました。この動きにより、オンラインで完結できる英語学習アプリやオンライン英会話への抵抗感が薄れた企業が増えています。 - AI技術の進化
近年、ChatGPTやGPT-4などの高度な生成AIが登場しました。これにより、英語学習の効率化がさらに進み、AIがリアルタイムでフィードバックをするサービスが増えています。
これらの要因が重なり、法人向け英語学習アプリの需要が急激に拡大しているのです。今や対面研修を主軸とする企業でも、オンラインを組み合わせたハイブリッド型に移行する動きが珍しくありません。
法人向け英語学習アプリの主な特徴と私の体験談
私自身も複数のアプリを実際に試し、社内研修で社員に利用してもらいました。ここでは、特に利用者の満足度が高かったポイントについて触れます。
1. スキマ時間の有効活用
アプリであれば、通勤や昼休み、業務の合間にスマホやタブレットで学習できます。私の会社でも「朝の通勤時にリスニング教材を聞く」「昼休みにAI英会話でひとりごとのように練習する」などのスタイルが定着しました。これは通学型研修では得られない大きな利点でした。
2. 個別最適化された学習
AIや学習履歴の分析を活用するアプリでは、受講者それぞれの弱点を自動で抽出し、最適なトレーニングや問題が提示されます。私が試したPOLYGLOTSのアプリ「レシピー」では、読んだ記事の単語レベルや解答履歴を見ながら次回の課題を調整してくれました。これにより社員が一斉に同じ授業を受けるよりも、高い効果を感じました。
3. 成果の見える化
法人向けプランの多くは、管理者向けにレポート機能が充実しています。私は人事担当としてダッシュボードを使い、各社員の学習時間や理解度をチェックしました。学習が遅れている社員には声かけをするなど、研修効果を高めるフォローを実施できるのも大きなメリットです。
4. AI活用で発音チェック
AI技術が進化したことで、音声認識による発音矯正が精度を増しています。たとえばスピークバディなどは、AIキャラクターと英語で対話しながら発音をスコア化してくれます。私も外国人との会議がある前にAI相手に練習したことで、本番のスピーキングの自信につながりました。
おすすめの法人向け英語学習アプリ一覧
ここでは、私がリサーチや実体験を通じて把握した代表的なサービスをまとめます。ビジネス英語特化やAI英会話など、それぞれに強みがあります。料金は税込金額を基本としていますが、法人導入の場合は人数によって変動することがあります。あくまで目安としてご参照ください。
サービス名 | 対象レベル | 主な特徴 | 法人向け料金プランの例 |
---|---|---|---|
Bizmates(ビズメイツ) | 初級〜上級(ビジネス会話特化) | ビジネス経験豊富な講師とのマンツーマン英会話レッスン。会議や交渉など実践的な教材が充実。予習復習用の学習システムも用意。 | 毎日25分レッスン:月額14,850円程度 |
レアジョブ英会話 | 初級〜上級 | フィリピン人講師中心のオンライン英会話。ビジネス英会話コースあり。日本人カウンセラーが学習相談に乗ってくれるため初心者でも安心。 | ビジネス毎日25分:月額6,490円〜 |
DMM英会話 | 初級〜上級 | 120ヶ国以上、約6,500人の講師陣。ネイティブ講師や日本人講師にも対応。ビジネス教材や日常会話教材が豊富。単語学習アプリ「iKnow!」を無料提供。 | 毎日25分:月額6,980円〜 |
ネイティブキャンプ | 初級〜上級 | 24時間いつでもレッスン受け放題。予約不要ですぐに講師と会話できる手軽さが人気。ビジネス英語や発音特化コースも搭載。 | レッスン無制限:月額6,480円(1名) |
スタディサプリENGLISH | 初級〜上級(目的別コース) | リクルート運営の人気学習アプリ。TOEIC対策やビジネス英会話などコースが豊富。3分動画と演習問題でスキマ学習しやすい。研修担当者向け管理画面が充実している。 | 6か月コース1名あたり約1〜9万円 |
POLYGLOTS (ポリグロッツ) | 初級〜上級 | AIが個別最適化したカリキュラムを提供。ニュース記事を用いたリーディング強化でビジネス教養も身につく。マンツーマンレッスンやコーチングプランもあり。 | 3ヶ月45,400円〜(1名) |
スピークバディ | 初級〜中級 | AIキャラクターとの英会話で発音や会話力を鍛える。ビジネスシナリオも用意され、リアルな対話が可能。全社導入なら1名あたり月500円〜と安価。 | 全社導入時:1名あたり月500円〜 |
Cambly(キャンブリー) | 中級〜上級 | 英語圏出身のネイティブ講師と24時間マンツーマン。アプリでオンデマンド接続。ビジネス英語や試験対策カリキュラムも選択可。 | 週5日×15分:月額約10,000円前後 |
その他にもBerlitz(ベルリッツ)のオンラインレッスンやEF English Live、さらにQQEnglishや産経オンライン英会話、Weblio英会話など多くの選択肢があります。自社がどのレベルの英語力を求めるのか、予算はいくらか、AI講師をメインにするか人間講師を重視するかなど、ニーズに合わせて検討することが大事です。
主要アプリの主な機能を比較
それぞれのサービスを詳しく見ていくと、機能面にもいくつか違いがあります。ここでは私が重要視したポイントを挙げておきます。
AI講師やAI技術を活用しているか
- スピークバディ
AIキャラクターと英語で対話しながら、発音や反応をフィードバックしてくれるのが特徴です。私の周りでも「人と話す前のウォーミングアップにちょうどいい」「対人のレッスンは緊張するけどAI相手なら気楽」という声が多く、英会話への苦手意識が和らぐ方がいました。 - POLYGLOTS
AIが学習履歴を分析し、個々のレベルや苦手分野に合った教材やニュース記事をレコメンドしてくれます。ビジネス英語に限らず幅広いテーマで読解力を伸ばせるのも良い点でした。
一方でBizmatesやRareJob、DMM英会話などは人間講師が中心のサービスです。レベルチェックテストなどで一部AIを活用しているケースはありますが、基本は講師によるレッスンで英会話を実践する形です。リアルタイムで講師から矯正を受けられるため、より実践的な会話力を鍛えたい方に人気があります。
ビジネス英語特化コースの充実度
- Bizmates
そもそもビジネス向けに特化しており、職場での会話や交渉、プレゼンなど現場で役立つ内容が中心です。私もプレゼンに使うフレーズをそのまま学んで、実務で助かった経験があります。 - レアジョブ英会話
ビジネス英会話コースがあり、電話対応やメールの文面など実践的なトレーニングができます。私の同僚は「英語での面接対策」にかなり効果があったそうです。 - DMM英会話 / ネイティブキャンプ
幅広い教材の中にビジネス英語のカテゴリが用意されており、自分のペースで選んでレッスン可能です。人によっては日常会話から始めて、慣れたらビジネス向けに移行するという使い方をしていました。 - スタディサプリENGLISH(ビジネスコース)
ドラマ仕立ての動画を通じて、会議や商談などリアルなシーンを想定した表現が学べます。映像があると状況をイメージしやすいため、英語のフレーズが頭に残りやすいと感じました。
発音矯正機能
- AIによる発音フィードバック
スピークバディやELSA Speakなどは音声認識技術を駆使し、どの音素が苦手か細かく指摘してくれます。私も最初は「L」と「R」の発音が苦手だったのですが、点数化してくれるので進捗が目に見えやすいのがやる気につながりました。 - 人間講師による発音指導
オンライン英会話型の多くはマンツーマンで講師がリアルタイムに発音を直してくれます。英語に慣れた講師が目の前で正しい口の動かし方を説明してくれるため、より細やかな矯正を得られると感じます。
eラーニング連携や研修管理機能
- SCORM対応やLMS連携
たとえばアルクのeラーニング教材(ALC NetAcademy)などは社内LMSに組み込めます。スタディサプリENGLISHも独自プラットフォームながら、法人向けには一括ID発行やシングルサインオン対応が用意されています。 - ダッシュボード機能
POLYGLOTSやスタディサプリENGLISHなどは研修担当者向けに管理画面があり、誰がどれだけ学習しているかを可視化しやすいです。BizmatesやRareJob英会話も定期的にレポートを出してくれて、テスト結果や受講回数の推移を把握できます。
モバイル対応
- 専用アプリが使いやすいか
スタディサプリENGLISH、POLYGLOTS、スピークバディなどは、スマホで完結するようUIが最適化されています。通勤電車内でも操作がスムーズなので、私の会社では「とにかくスマホでいつでも学習できる」が導入の決め手でした。 - オンライン英会話をスマホで受講できるか
BizmatesやRareJob、DMM英会話などもスマホアプリやブラウザから受講可能です。ただPCと比べ画面が小さいため、資料を見ながら練習する方にはPCが向いているかもしれません。一方、ネイティブキャンプのように「予約不要」でスマホからすぐレッスンに入れるのは大きな強みです。
法人向け英語学習アプリの料金相場
私の経験上、法人で導入する際は受講者数 × 月額料金の形が多いです。大量導入の場合、1人あたりの料金が下がるボリュームディスカウントが得られるケースもあります。
- 月額定額制のオンライン英会話
たとえばBizmatesは毎日25分のマンツーマンレッスンで1名あたり月額14,850円程度です。ネイティブキャンプは月6,480円ほどでレッスン受け放題です。レアジョブ英会話も6,490円前後からビジネスコースを利用できます。 - AI英会話アプリやコーチング
スピークバディは全社導入だと1名あたり月500円〜と破格のプランがあり、私が所属していた会社でも試験導入してみたところ好評でした。POLYGLOTSはアプリ&レッスンプランで3ヶ月45,400円〜(1名あたり)という形もあります。コーチング型で手厚いサポートを受けたい場合は、PROGRITやトライズといったサービスが2〜3ヶ月で数十万円になり、価格は一気に跳ね上がります。 - 契約期間と初期費用
多くのサービスは初期費用を無料にしているケースが多いです。契約期間も1ヶ月から半年〜1年など柔軟に選べる場合が多いです。スタディサプリENGLISHの法人版では、6ヶ月単位で1名あたり1〜9万円程度というプランが公開されています。大人数になるほど1人当たりの単価が下がることが多いので、まずは問い合わせて見積もりを出してもらうのがおすすめです。
導入事例と評判
実際に法人での導入事例が増えています。いくつかの企業の評判・口コミを紹介します。
- スタディサプリENGLISH
累計導入企業が1000社以上とされており、大手IT企業のヤフー株式会社などが活用しています。TOEICスコアが平均225点もアップしたという報告もあり、短期間で成果が出やすいと好評です。私の会社でもスタディサプリを活用したとき、問題演習や動画解説がテンポ良く学べるので、忙しい社員でも続けやすい印象を受けました。 - Bizmates(ビズメイツ)
累計導入企業数1,400社以上とも言われ、富士通やビックカメラなど幅広い企業が採用しています。ビックカメラではインバウンド対応の研修として活用し、店舗スタッフが外国人のお客様をスムーズに案内できるようになったそうです。講師陣がビジネス経験者という強みがあり、私もレッスンを体験した際、「実務でこの表現を使うと良いですよ」といった細かいアドバイスが非常に役立ちました。 - ネイティブキャンプ
大阪ガスや7-Elevenジャパン、マネーフォワードなどで導入が進んでいます。とにかく「思い立った瞬間にレッスンを始められる」のが強みで、予約不要で講師を選べる手軽さが人気。私も初めて利用したときは好きな時間にすぐ英会話ができるので、レッスン予約を忘れる問題が無いのが助かりました。 - POLYGLOTS(レシピー)
三菱ガス化学が新入社員研修の一斉授業をアプリ+マンツーマンレッスンに切り替え、大幅な学習効率アップを実現したと報告されています。ニュース記事を使ったリーディングで実務にも活かせる教養を同時に養える点が高評価でした。私の知り合いの企業でも、社員から「教材が硬すぎず読みやすい」「自分専用のカリキュラムが出るので無理なく進められる」と好評を得ています。 - スピークバディ
三井不動産や京都大学、地方自治体、金融、IT企業など多彩な業種で導入されています。全社導入時の1人あたり月額が安価なので、大人数に一斉に提供できる魅力があります。私の周囲でも「AI相手なら失敗しても恥ずかしくない」「ひとりでこっそり練習できるから気軽」といったポジティブな口コミをよく聞きます。
導入のメリットとデメリット
私が実際にアプリ導入を進めるなかで感じたメリット・デメリットをまとめます。
導入のメリット
- コスト効率の良さ
オフライン研修に比べ費用を大幅に抑えられます。会場手配や講師交通費などの経費が不要で、限られた予算で多くの社員が利用できる魅力があります。 - 運営負担の軽減
私は人事担当として、対面研修のスケジュール調整に苦労した経験がありました。オンラインアプリなら個別に学習できるので日程調整の負担が少なく、出席率が落ちることもありません。 - スキマ時間を活かせる
忙しい社員でも通勤中や休憩時間に学べます。特にAI対話型のアプリや短いレッスンが可能なサービスは続けやすいです。 - 個人のペースで学べる
レベルや苦手分野は人によって違います。一斉研修だと進度差が大きくなりがちですが、アプリならAIが各自に最適な問題を出したり、個別レッスンを受けたりできます。 - 学習データが蓄積される
誰がいつ学習しているか、どの程度伸びているかがダッシュボードで一目瞭然です。私もデータを見て研修計画を立て直したり、本人にフィードバックをしたりできました。
導入のデメリット・懸念点
- モチベーション維持が難しい
自主性に任せる部分が大きいので、仕事が忙しいと後回しにされがちです。私の会社では学習目標を数値化して部署対抗戦をやるなど、ゲーミフィケーションで工夫しました。 - スピーキング実践機会の不足
AIアプリだけの場合、実際の人間と話す練習が足りなくなる懸念があります。オンライン英会話を組み合わせる、英語でディスカッションする社内イベントを開くなど、補完策があるとさらに効果が高まります。 - 専門分野の学習にフィットしない可能性
市販アプリは汎用的なビジネス英語教材が多く、業界特有の専門用語まではカバーしきれない場合があります。Bizmatesのように業界別教材を用意しているサービスもありますが、足りない部分は社内でカスタマイズする必要があるかもしれません。 - 通信環境に左右される
オンライン英会話やビデオ通話を利用する場合、社内や自宅のWi-Fi環境が不安定だとトラブルが起きがちです。私も社員から「夜は回線が混むのか映像が途切れる」という報告を受けました。音声通話中心に切り替えるなどの工夫が必要です。
競合サービスとの比較
英語学習アプリ導入を検討する際、ほかの英語研修手法と比較する方も多いでしょう。それぞれにメリット・デメリットがあるため、組み合わせて使うのが理想的です。
オフライン研修や通学型スクールとの比較
- オフラインの利点
講師と直接顔を合わせるため臨場感があります。同期社員同士の仲間意識や競争意識を高めやすい面も大きな魅力です。 - オフラインの欠点
時間や場所の制約が大きいです。多拠点勤務の社員には不向きで、研修担当の工数や会場費用も膨らみがちです。
コーチング型サービスとの比較
- コーチングの利点
PROGRITなどは専属トレーナーが学習スケジュールからモチベーション管理まで徹底的に支援してくれます。短期間で大きくスコアアップしたい場合は強い味方になります。 - コーチングの欠点
1人あたり数十万円以上と高額なので、大人数での導入は現実的ではありません。重要な管理職や選抜メンバーなど限定的に利用する企業が多いです。
海外留学や赴任との比較
- 留学の利点
現地で英語漬けの環境に入るので、飛躍的に話す力が伸びる可能性があります。 - 留学の欠点
長期的なコストや期間がかかり、全社員に対しては困難です。帰国後に英語を使う環境がなければスキルが定着しにくいリスクもあります。
そのため「オンライン学習で基礎を固め、希望者を短期留学させ、帰国後またオンラインでフォローする」というステップ型運用が多いです。
最新トレンドと今後の展望
今後は英語学習アプリに関して、AIのさらなる進化とデータ活用の高度化がキーワードになると考えられます。
- 生成AIの本格活用
ChatGPTなどの大型言語モデルが登場したことで、英会話の相手をAIが代替できる精度が高まっています。すでにDuolingoではGPT-4を活用した有料機能を提供し、文法解説やロールプレイ会話を行っています。今後、法人向けにも業界特化のAI講師が登場し、自社用語や製品知識まで学習したAIがリアルタイムで社員の英語メールを添削してくれる時代が来るかもしれません。 - データドリブンなパーソナライズ学習
POLYGLOTSのようにビッグデータを分析して個別学習を最適化する動きはさらに進みそうです。履歴や弱点をAIが解析し、「あなたには今週は交渉英語を重点的に学んだほうが良い」といった細やかなレコメンドが自動化される可能性があります。 - ゲーミフィケーションやコミュニティ機能
学習継続の秘訣はモチベーション管理です。ランキング機能やバッジ獲得、部署対抗イベントなどゲーム的な仕掛けがあると、社員同士で切磋琢磨する雰囲気が生まれます。私の会社でもイベント時は学習時間が一気に増えたので、こうした仕組みの導入は成果を押し上げる鍵になるはずです。 - 市場のさらなる拡大と競争激化
日本企業での英語研修需要は今後も伸び続けると予想されます。大手企業や海外発のスタートアップが新たなサービスを立ち上げ、価格競争やサービス品質競争が激しくなるでしょう。選ぶ側としては選択肢が増える反面、より慎重なサービス比較が求められます。
法人向け英語学習アプリ導入のポイント
最後に、私が人事担当として経験した中で「ここを押さえておくと成功しやすい」と感じたポイントをまとめます。
- 目的と目標を明確にする
社員にTOEICスコアを上げてもらうのか、ビジネス会話力を身につけてもらうのか。もしくはメール・電話対応を任せられるレベルに育てたいのか。ゴールをはっきり示すことで、最適なサービスを選びやすくなります。 - 学習スケジュールを作りやすくする
本業が忙しいと学習は後回しになりがちです。学習時間の目安や部署ごとの目標を設定し、進捗を共有する仕組みづくりが重要です。eラーニングの管理画面でモニタリングしたり、週1で進捗メールを出すなどの運用をおすすめします。 - アプリとオンライン英会話の併用
AIやアプリだけでは実際の対人コミュニケーション力が伸びにくい場合があります。逆に講師とのレッスンだけだと予習復習が不足しがちです。アプリ学習で予習→オンライン英会話で実践→アプリで復習、というサイクルを回すことで効果が倍増すると実感しました。 - 社内での盛り上げ施策
研修を「やらされ感」だけで進めるとモチベーションが続きません。私はイベントやコンペ形式の取り組みを企画しました。「今月の学習時間No.1は誰か」などを掲示して表彰したところ、社内で英語学習の話題が増え、お互いにアドバイスし合う文化が生まれました。 - 定期的な効果測定
どの程度英語力が伸びているか、TOEICやスピーキングテストなどで定期チェックすると良いです。RareJob英会話が提供するPROGOS®などオンラインで受けられるスピーキングテストを活用する企業も増えています。私は研修開始前と6ヶ月後にテストを受けてもらい、点数アップが可視化されることで社員のやる気アップにつながりました。
まとめ:AI時代の英語研修を成功させよう
法人向け英語学習アプリは、コスト効率や学習の柔軟性、そして進捗管理のしやすさなど、多くの利点をもたらします。私自身、対面研修中心だった頃には実現できなかった大規模かつ効果的な英語研修を行うことができました。
一方で、デジタル学習特有のモチベーション管理やスピーキング実践の不足など、気をつけるべきポイントもあります。そこでAI英会話アプリとオンライン英会話を組み合わせたり、社内イベントで学習を盛り上げる工夫が非常に大切です。
今後はさらにAIが進化し、学習者一人ひとりにパーソナライズされたレッスンやリアルタイム添削が実現するでしょう。法人向け英語学習アプリ市場は拡大し続け、競合も激しくなりますが、それだけ企業にとっては質の高いサービスを選ぶチャンスが増えるとも言えます。
ぜひ自社のニーズや目標を明確にしながら、最適なアプリを選び、効率的に社員の英語力を底上げしてください。グローバルビジネスの現場で、英語が使える社員が増えることは、間違いなく貴社の大きな武器になるはずです。
参考URL
- LISKUL「2025年最新版 法人向け英会話サービスおすすめ35選」
- HRプロ「法人の語学研修に、スタディサプリENGLISH」
- Bizmates公式プレスリリース
- PR TIMES(スピークバディ法人向けプレスリリース)
- PR TIMES(ポリグロッツ導入事例)
- ビジネスeye「英会話ビジネスの市場規模拡大が止まらない理由とは!?」