IELTSとTOEFLは、留学や就職で求められる代表的な英語能力試験。でも、両者のスコアの読み替えって、実はそう簡単じゃないんです。
ネット上には、IELTSとTOEFLの換算表がたくさん出回っています。確かに、それを見れば大まかなイメージは湧くかもしれません。でも、その換算表は本当に信頼できるのでしょうか?
そこで今回は、IELTSとTOEFLのスコア換算表の信頼性と、使う際の注意点について詳しく解説します。換算表を鵜呑みにせず、適切に活用するためのポイントが満載ですよ。
これからIELTSやTOEFLの受験を考えている人は、ぜひ参考にしてみてくださいね!
IELTSとTOEFLの概要と違い
まずは、IELTSとTOEFLの概要と違いを押さえておきましょう。両者は、以下のような特徴があります。
IELTS(International English Language Testing System)
- 主にイギリス・オーストラリア・カナダへの留学や移住に必要
- リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能を測定
- 0〜9の「バンドスコア」で評価
- アカデミック・モジュールとジェネラル・トレーニング・モジュールの2種類
- ペーパー版とコンピューター版を選択可能
TOEFL(Test of English as a Foreign Language)
- 主にアメリカの大学への留学に必要
- リスニング・リーディング・スピーキング・ライティングの4技能を測定
- 0〜120の「スコア」で評価
- インターネット版(iBT)、ペーパー版(ITP)の2種類
- 統合型の出題形式(リーディングとリスニングの組み合わせなど)
以上のように、IELTSとTOEFLは測っている英語力の領域は似ていますが、試験形式やスコアの表記方法が大きく異なります。その違いが、スコア換算を難しくしている要因の1つなのです。
IELTSとTOEFLのスコア換算表の例
では、実際のIELTSとTOEFLの換算表を見てみましょう。ネット上では、以下のような対応関係が示されていることが多いです。
IELTS | TOEFL iBT |
---|---|
9.0 | 118-120 |
8.5 | 115-117 |
8.0 | 110-114 |
7.5 | 102-109 |
7.0 | 94-101 |
6.5 | 79-93 |
6.0 | 60-78 |
5.5 | 46-59 |
5.0 | 35-45 |
4.5 | 32-34 |
4.0 | 31 |
※各スコア帯は目安であり、絶対的な対応関係を示すものではありません。
一見すると便利な換算表ですが、これには大きな落とし穴があります。両者の試験形式や評価基準が異なるため、このような単純な読み替えは不可能だからです。
実際、換算表通りのスコアが取れるとは限りません。IELTSで高得点を取った人が、TOEFLでは伸び悩むケースもよくあるのです。
IELTSとTOEFLを単純に換算できない理由
ここからは、IELTSとTOEFLのスコアが単純に換算できない理由を、詳しく見ていきましょう。両テストの違いを理解することが、適切なスコア比較のカギとなります。
1. 出題形式と問題数の違い
IELTSはリスニング40問、リーディング40問、ライティング2問、スピーキング3パートで構成されています。一方、TOEFLはリスニング28-39問、リーディング36-56問、スピーキング4問、ライティング2問と、問題数のボリュームが全体的に多めです。
また、TOEFLの読解問題は長めの文章が出題され、複数のパッセージにまたがる設問もあるのが特徴。IELTSよりもアカデミックな英語力が問われる傾向にあります。
こうした出題形式の違いが、同じ英語力でもスコアに差が出る原因になっているのです。
2. 評価観点と配点の違い
IELTSの各技能は9段階のバンドスコアで評価され、4技能の平均点が総合バンドスコアとなります。つまり、リスニングとリーディングの配点比重が高めです。
対してTOEFLは、4技能ともに0-30点で採点。リーディングとリスニングが各30点、スピーキングとライティングが各30点の配点なので、アウトプット能力をより重視する配分だと言えます。
このように評価のウェイトが異なると、得意な技能の違いによって、同じ英語力でもスコアに開きが出てしまうのです。
3. スピーキングとライティングの採点基準の違い
IELTSのスピーキングテストは、試験官との1対1の面接形式。流暢さや発音、語彙の幅広さなどを採点されます。TOEFLはコンピューターに向かって回答するため、発音の評価基準が異なります。
ライティングもIELTSは課題に対する回答力を重視しますが、TOEFLは文法の正確性や構成力、語彙の豊富さなども評価の対象。同じライティング力でも、スコアに違いが出る可能性があるのです。
セクション別のスコア比較にも注意が必要
IELTSとTOEFLを技能別に比較する換算表も、ネット上に出回っています。しかし、これにも注意が必要です。
確かに、リーディングとリスニングは問題形式の類似性から、ある程度の相関関係があると言われています。IELTS6.5とTOEFL23-30の読解力は、おおむね同等レベルと見なせるでしょう。
一方、ライティングとスピーキングは、採点基準の違いが大きいため、スコアの単純比較は難しいと言えます。同じ6.5でも、求められるライティング力は各試験で異なるのが実情なのです。
したがって、セクション別の換算表も絶対視は禁物。特にライティングは、IELTSとTOEFLでは問われるスキルが大きく異なることを理解しておきましょう。
換算表活用の5つの注意点
IELTSとTOEFLの換算表を参考にする際は、以下の5点に気をつけることが大切です。
- あくまでも目安として活用する
- スコア換算表は絶対的なものではない
- 各自の英語力を大まかに知る「目安」と考える
- 換算表より各テストの基準を理解する
- 換算表を鵜呑みにせず、各テストで求められる英語力を把握する
- 問題形式や評価ポイントの違いを知ることが大切
- 過去の受験者の体験談を参考にする
- 両方の試験を受けた人の体験談をチェックする
- 換算表通りのスコアが取れるとは限らないことを認識する
- 留学先が求めるスコアを確認する
- 留学先の要求スコアは換算表と異なることが多い
- 必ず留学先が指定する試験とスコアを満たすこと
- 苦手分野の克服に注力する
- 自分の弱点となるパートを把握する
- 換算表に惑わされず、苦手分野を重点的に対策する
以上の点を押さえつつ、換算表はあくまで目安として活用しましょう。そして、IELTS・TOEFLどちらの試験を受けるにしても、各テストの特徴を理解した上で、戦略的に学習を進めることが肝心です。
IELTSとTOEFLどちらを受験すべき?
「IELTSとTOEFLのスコアって換算できないの?」と疑問に思った人も多いかもしれません。でも、大切なのはどちらの試験が自分に合っているかを見極めること。
以下の3つの観点から、受験する試験を選ぶことをおすすめします。
- 留学先や就職先が求める試験かどうか
- 留学先大学の入学要件を満たす試験を選ぶ
- 就職先企業が評価する試験に傾斜配点する
- 自分に合った出題形式かどうか
- コンピューターに慣れているならTOEFL iBTがおすすめ
- アカデミックな英語が得意ならTOEFLの方が有利
- 学習期間と費用を考慮する
- IELTSは約2週間、TOEFLは約1ヶ月の学習期間が理想
- 受験料はIELTSの方がやや高め(約2.5万円)
自分の目的や学習スタイルに合う方を選んで、しっかりと対策を進めていきましょう。無理に両方受ける必要はありません。それよりも、1つの試験に的を絞って、効果的なスコアアップを目指すことが賢明だと言えます。
まとめ
IELTSとTOEFLのスコア換算表について、その信頼性と正しい活用法を解説してきました。
換算表はあくまで「目安」に過ぎず、2つの試験で問われる英語力は同一ではありません。語学力を測る物差しが違うのだから、当然スコアにも差が出るのです。
大切なのは、留学や就職の目的に合った試験を「戦略的に」選ぶこと。換算表に振り回されるのではなく、IELTSとTOEFLの違いをしっかりと理解した上で、対策に臨みましょう。
そうすれば、必ず目標スコアに近づけるはず。コツコツと努力を重ねて、自分の英語力を存分に発揮できる日を目指してくださいね。