英語スピーキング力を客観的に測定できるPROGOSを受験された方の中で、「結果の見方がよくわからない」「自分のレベルがどの程度なのか知りたい」といった疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
PROGOSは国際標準のCEFRに準拠した評価システムを採用しており、単なるレベル判定だけでなく、具体的な改善点まで詳細にフィードバックしてくれる画期的なスピーキングテストです。しかし、その詳細な結果を正しく理解し、効果的に活用するためには適切な知識が必要です。
本記事では、PROGOS結果の詳しい見方から各レベルの特徴、そして具体的な改善方法まで、英語学習のプロフェッショナルが徹底的に解説します。あなたのPROGOS結果を最大限に活用し、効率的なスピーキング力向上を実現しましょう。

PROGOS結果の基本的な見方とは?
結果通知のタイミングと確認方法
PROGOSの結果通知は受験形式によって大きく異なります。
自動採点版(個人会員)の場合:
- 受験完了後、最短2~3分で結果表示
- アプリの場合は「結果が出ました」というアラーム通知
- 即座にフィードバックシートの詳細確認が可能
手動採点版(法人会員)の場合:
- 受験日から15営業日以内にテスト結果が表示
- より詳細で精密な人的採点による評価
- 結果確認URLは受験時と同じサイトから

フィードバックシートの構成要素
PROGOS結果は以下の2つの主要評価で構成されています:
1. 総合評価(CEFR-Jレベル)
B2 High and above ~ Pre-A1の9段階で総合的なスピーキング力を評価します。この総合評価は、各タスクに対する「達成度」と6つの指標別評価を総合的に判断して算出されます。
2. 指標別評価(CEFRレベル)
スピーキング力を以下の6つの細目で詳細分析:
指標 | 評価内容 | 改善ポイント |
---|---|---|
Range(表現の幅) | 語彙・構文の多様性 | 同じ表現の繰り返しを避け、豊富な語彙を使用 |
Accuracy(正確さ) | 文法・語法の正確性 | 基本文法の徹底と複雑な構文の習得 |
Fluency(流暢さ) | スムーズな発話 | 自然なテンポと適切な間の取り方 |
Interaction(やりとり) | 対話力・応答性 | 質問への適切な反応と積極的な会話参加 |
Coherence(一貫性) | 論理的構成 | 筋道立った説明と接続語の効果的使用 |
Phonology(音韻) | 発音・イントネーション | 聞き取りやすい発音と自然な音声 |
重要な注意点:
総合評価は指標別評価の単純平均ではありません。各タスクの達成度も含めた総合的判断のため、指標別評価がB2でも総合評価がB1になる場合があります。
CEFRレベル別の詳細解説
Pre-A1レベル:基礎段階の入門者
できること:
- 簡単な挨拶や自己紹介
- 基本的な日常表現の理解
- ゆっくりとした単語レベルでの応答
改善の方向性:
- 基本語彙の拡充(500~1000語)
- 現在形の確実な習得
- 発音の基礎練習
A1レベル:基礎段階の初心者
できること:
- 身近な話題での簡単な会話
- 基本的な情報の交換
- ゆっくりとした短文での表現
改善の方向性:
- 過去形・未来形の習得
- 日常生活語彙の拡充
- 簡単な質問への即答練習
A2レベル:基礎段階の中級者
できること:
- 日常的な話題での情報交換
- 経験や出来事の簡単な説明
- 予定や希望の表現
改善の方向性:
- 複文構造の習得
- 感情や意見の表現拡充
- より自然な会話のテンポ
B1レベル:自立した言語使用者(中級)
できること:
- 馴染みのある話題での流暢な会話
- 経験や夢、希望の詳細な説明
- 意見とその理由の明確な表現
B1 Highとの違い:
B1 Highレベルでは「英語を流暢に話せる状態」が実現されますが、これは馴染みのあるトピックや共通理解がある人たちとの会話に限定されます。
B2レベル:自立した言語使用者(中上級)
ビジネスシーンでの価値:
B2レベルはグローバル企業が求める最低限の英語力とされ、以下のような能力を発揮できます:
- 複雑な情報の理解と発信
- 専門的内容を含む長文の理解
- 高度な議論や交渉への積極参加
- ビジネスレポートの読解と内容議論
- ネイティブスピーカーとの自然なコミュニケーション

C1・C2レベル:熟達した言語使用者
C1レベル:
- あらゆる状況での効果的な言語使用
- 複雑で抽象的な話題での議論
- マネジメント層としての英語運用
C2レベル:
- ネイティブレベルの言語運用
- 高度な学術・専門分野での議論
- 完全なバイリンガル能力
実際のPROGOS結果分析事例
実例1:B2総合評価の詳細分析
ある受験者のB2評価結果を詳しく見てみましょう:
総合評価:B2
指標別内訳:
- Range(表現の幅):B2 and above
- Accuracy(正確さ):B2 and above
- Fluency(流暢さ):B2 and above
- Interaction(やりとり):B1
- Coherence(一貫性):B2 and above
- Phonology(音韻):B1
分析結果:
この結果から「発音は綺麗で文法的にも正確な英語を話せるが、会話での相互作用と話の論理構成に課題がある」ことがわかります。
具体的な改善提案:
- Interaction改善:相手の質問に正確に答える練習
- Coherence強化:論理的な説明の構造化練習
受験者の生の声
「無料でここまで詳細なフィードバックがもらえるのは本当にありがたい。自分では気づかなかった弱点が明確になり、学習の方向性が見えました。」
「B2という結果に最初は満足していましたが、指標別の詳細を見ると改善すべき点がはっきりしていて、次の学習目標を設定できました。」
PROGOS結果を活用した効果的な改善方法
指標別改善戦略
Range(表現の幅)を向上させる方法
具体的な学習法:
- 同義語・類義語の積極活用:同じ意味を異なる表現で伝える練習
- ビジネス英語表現の習得:フォーマル・インフォーマルの使い分け
- トピック別語彙の拡充:業界用語や専門用語の学習
実践練習:
例:「good」を使わずに肯定的評価を表現
→ excellent, outstanding, remarkable, impressive, beneficial
Accuracy(正確さ)を高める方法
重点学習項目:
- 時制の完璧な使い分け:現在完了・過去完了の適切な使用
- 冠詞の正確な運用:a/an/theの使い分けルール
- 前置詞の適切な選択:場所・時間・方法を表す前置詞
効果的な練習法:
- 文法書での理論学習後、即座に実践練習
- 録音・再生による自己チェック
- ネイティブチェックによる添削
Fluency(流暢さ)を身につける方法
練習のポイント:
- シャドーイング:ネイティブスピーカーの音声に合わせて発話
- スピーキング速度の調整:適切なテンポでの継続的発話
- フィラー語の効果的使用:「well」「you know」などの自然な間つなぎ
日常練習法:
- 1日10分の独り言英語
- ニュース要約の音読練習
- オンライン英会話での積極的な発話
Interaction(やりとり)を強化する方法
重要な要素:
- アクティブリスニング:相手の話を正確に理解
- 適切な質問返し:会話を発展させる質問技術
- 確認・同意の表現:「I see」「Exactly」などの相槌
実践的練習:
- ロールプレイでのビジネス会話
- ディベート・ディスカッション参加
- 質問への即答練習(20秒以内)
Coherence(一貫性)を向上させる方法
論理構成の基本パターン:
- PREP法:Point(結論)→Reason(理由)→Example(例)→Point(再結論)
- 時系列説明:First→Then→Finally
- 比較対照:On one hand→On the other hand
練習方法:
- プレゼンテーション練習(60秒で要点整理)
- 接続語を意識した説明練習
- ストーリーテリングの構造化
Phonology(音韻)を改善する方法
発音改善の優先順位:
- L/R音の区別:日本人が最も苦手とする音素
- 語尾子音の明確化:「t」「d」「s」などの音
- 単語ストレス:強勢の正確な位置
- 文イントネーション:上昇・下降調の使い分け
効果的な練習ツール:
- 発音矯正アプリの活用
- 音声録音・波形分析
- ネイティブとの発音比較練習
PROGOS結果改善のための学習プラン
3ヶ月集中改善プログラム
第1ヶ月:基礎固めフェーズ
Week 1-2:弱点分析と基礎練習
- PROGOS結果の詳細分析
- 最も低い指標2つに集中
- 基礎文法・語彙の徹底復習
Week 3-4:実践練習開始
- 毎日20分のスピーキング練習
- 録音・再生による自己分析
- オンライン英会話レッスン開始(週3回)
第2ヶ月:スキル統合フェーズ
Week 5-6:複合スキル練習
- プレゼンテーション課題(週2回)
- ディスカッション練習(週1回)
- ビジネス英語表現の実践
Week 7-8:実戦練習
- 模擬PROGOS受験(月2回)
- フィードバック分析と改善
- 弱点分野の集中練習
第3ヶ月:最終仕上げフェーズ
Week 9-10:総合力向上
- 全指標バランス練習
- 実際のビジネスシーン想定練習
- ストレス下でのスピーキング練習
Week 11-12:最終調整
- PROGOS本番受験
- 結果分析と次期目標設定
- 継続学習プランの策定
レベル別重点学習項目
現在レベル | 目標レベル | 重点学習項目 | 推奨学習時間 |
---|---|---|---|
A1 | A2 | 基本語彙1500語、現在・過去・未来時制 | 週10時間 |
A2 | B1 | 中級語彙3000語、複文構造、意見表現 | 週12時間 |
B1 | B2 | ビジネス語彙5000語、論理構成、議論技術 | 週15時間 |
B2 | C1 | 専門語彙8000語、抽象概念、高度な議論 | 週20時間 |
法人でのPROGOS活用事例
企業研修での活用パターン
導入前診断→研修実施→効果測定の3段階活用が一般的です。
効果的な活用事例:
- 新人研修での英語力測定
- 入社時のベースライン測定
- 3ヶ月後の成長確認
- 個別指導計画の策定
- 海外赴任前研修
- 赴任前の現状把握
- 必要レベルまでの集中研修
- 赴任直前の最終確認
- 部署別スキル管理
- 営業部門:B2レベル必須
- 管理部門:B1レベル必須
- 技術部門:専門分野でのC1レベル
ROI(投資収益率)の測定
企業がPROGOSを導入することで得られる具体的な効果:
定量的効果:
- 研修効果の可視化(平均0.5レベルアップ/3ヶ月)
- 海外案件対応力向上(30%増)
- 国際会議参加の積極性向上(50%増)
定性的効果:
- 社員の英語学習モチベーション向上
- グローバル人材プールの拡大
- 企業の国際競争力強化
まとめ:PROGOS結果を最大限活用する秘訣
PROGOS結果は単なる「英語力の通知表」ではありません。あなたの英語スピーキング力を劇的に向上させるための詳細な設計図です。
成功のための5つの重要ポイント
- 結果の正確な理解:総合評価だけでなく6つの指標別評価を詳細分析
- 優先順位の明確化:最も改善効果の高い分野から集中的にアプローチ
- 継続的な測定:月1回のPROGOS受験で進捗を客観的に把握
- 実践的な練習:ビジネスシーンを想定した実用的な練習の重視
- 専門指導の活用:独学の限界を認識し、適切なタイミングでプロの指導を受ける
次のステップ
もしまだPROGOSを受験されていない方は、公式サイトから無料受験をお試しください。すでに結果をお持ちの方は、本記事の改善方法を参考に、具体的な学習計画を立ててみましょう。
あなたのPROGOS結果が示すレベルは、現在地であって到達点ではありません。適切な学習戦略と継続的な努力により、必ず次のレベルに到達できます。
グローバルビジネスで通用する英語スピーキング力を身につけ、キャリアの可能性を大きく広げていきましょう。
この記事がPROGOS結果の理解と英語力向上にお役立ていただければ幸いです。質問やご相談がございましたら、お気軽にコメント欄でお聞かせください。