英検のライティング試験は、多くの受験者にとって最も難易度が高い科目の一つです。限られた時間内で、与えられたトピックについて英語で文章を書くのは容易ではありません。
特に、自分の英文がどのように評価されるのかが分からないと、対策に不安を感じる人も少なくないでしょう。中でも、「英検ライティングの採点は甘いのでは?」という噂を耳にすることがあります。
果たして、この噂は本当なのでしょうか。今回は、英検ライティングの採点をめぐる5つの疑問点を取り上げ、その真相に迫ってみたいと思います。
1. 「英検ライティングは採点が甘い」は本当か?
「英検のライティングは、ちゃんと書かなくても合格点がもらえる」「試験官の採点基準が甘い」といった声をよく聞きます。しかし、実際のところはどうなのでしょうか。
結論から言えば、一概に「甘い」とは言えません。確かに、下位級のライティングでは、課題に沿った内容が書けていれば細かい文法ミスは許容される傾向にあります。しかし、級が上がるにつれて合格ラインも徐々に高くなっていきます。
特に準1級や1級では、文法・語彙・構成・内容のいずれかに大きな欠陥があれば、合格点に届かない可能性が高いと言えるでしょう。英検協会は、一貫した基準で採点が行われていると説明しています。
【英検3級ライティングで0点?】
英検3級のライティングで、0点を取ってしまったという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。実際、ネット上の知恵袋などでも、そうした事例が報告されています。
しかし、3級レベルのライティングで0点というのは、極めて稀なケースだと言えます。課題と全く無関係の内容を書いていたり、英文として成立していない場合を除けば、最低でも数点は獲得できるはずです。
0点といっても、単に合否ラインに届かなかっただけで、実際の得点は10点満点中3〜4点程度だったのかもしれません。いずれにせよ、3級の0点は極端な例外だと考えておいて良いでしょう。
2. 本当に「ライティングをやらかした」のか?
ライティング試験を終えた多くの受験者が、「やらかした…」という感想を漏らします。自分の書いた英文に自信が持てず、不安になるのは珍しいことではありません。
しかし、実際には思ったほど悪い点数ではなかった、というケースも少なくありません。自分では「大失敗した」と感じていても、意外と合格点に届いていたりするのです。
ライティングの出来不出来を自分で判断するのは難しいもの。「やらかした」という実感は、必ずしも低得点を意味するわけではないのです。
【ライティングで途中で書くのをやめた場合は?】
時間内に英作文が終わらず、途中で書くのをやめてしまった場合はどうなるのでしょうか。もちろん、これは減点対象になります。
ただし、その部分までは採点されますし、それまでの内容次第では部分点が取れる可能性もあります。英文の完成度は低くても、課題に対する一定の理解が見られれば、0点にはならないケースが多いようです。
時間が足りずに英文が完成しなくても、落ち着いて対処することが大切ですね。どこまで書けたとしても、自分の力を信じましょう。
3. ライティングの採点者は誰?
英検のライティング試験は、一体誰が採点しているのでしょうか。気になる方も多いのではないでしょうか。
実際の採点は、英検協会が認定した専門の採点者が担当しています。採点者は、英語教育の経験が豊富な日本人スタッフが中心です。
採点は問題ごとに定められた採点基準表に基づいて行われ、各評価項目の到達度に応じて配点が決定されます。採点者は受験者の英文を丹念に読み込み、表現の適切さや文章構成の論理性などを多角的に評価します。
つまり、ライティングの採点は適切な資格を持った専門スタッフによって、厳正に行われているのです。第三者的な立場の採点者が、一定の基準に沿って公平に評価しているので、心配する必要はありません。
【ライティングの採点はAIで?】
近年、英語教育の現場では、AIを活用した自動採点システムの導入も進んでいます。英検でも一部の級でAIによる採点が取り入れられています。
しかし、あくまでAIはサポート的な役割であり、総合的な判定は人間の採点者によって下されます。現時点の技術では、AIだけで正確な評価を下すのは難しいのが実情です。
英検ライティングの採点で中心となっているのは、やはり専門スタッフによる手作業だと言えるでしょう。AIの導入により採点の手助けが得られるようになったものの、最終的な合否判定は人の手に委ねられているのです。
4. 採点基準が本当におかしいのか?
「英検のライティング採点基準はおかしい」という声を耳にすることがあります。自分の答案に対する評価が、納得できないと感じる受験者もいるようです。
しかし、英検協会は採点基準について「一貫性があり公平である」と説明しています。受験者からの問い合わせにも、丁寧に対応しているそうです。
ライティングの評価は、設問の理解度、内容の妥当性、語彙や文法の正確さなど、多角的な観点から行われます。1つ1つの基準が明確に定められており、採点者はそれに従って厳格に採点しているのです。
「採点基準がおかしい」と感じるのは、受験者側の主観的な思い込みによるものかもしれません。客観的に見れば、一定の妥当性をもった基準で評価が下されていると言えるでしょう。
【ライティング採点アプリで自己採点?】
最近では、オンラインの自動採点アプリを使って、自分の英作文力を手軽にチェックできるようになりました。ライティング対策に役立つアプリとしては、『スタディサプリ』や『英ナビ!』などが人気です。
しかし、こうした自動採点アプリはあくまで参考程度に留めておくのが賢明だと言えます。アプリの評価をそのまま鵜呑みにするのは危険です。
特に、AIによる自動採点は、文法や語彙のチェックが中心。内容面の妥当性や論理性までは十分に判定できないのが実情なのです。アプリの評価に一喜一憂するのではなく、自分の力で英文を推敲する姿勢が何より大切だと言えます。
自動採点アプリはあくまで補助的なツールと割り切って、学習の進捗状況を確認する程度に活用するのがおすすめです。
5. 甘い採点を当てにするのは禁物?
以上、英検ライティングの採点をめぐる疑問点を検証してきました。ここまでの議論をまとめると、次のようになります。
- 英検ライティングの採点が一概に「甘い」とは言えない
- 自分では「やらかした」と思っても、意外と合格点に近いことがある
- ライティングの採点は、専門スタッフによって厳正に行われている
- 採点基準は一貫性と妥当性を持っており、おかしいわけではない
- 自動採点アプリの評価は参考程度に留め、過信は禁物
つまり、英検ライティングの採点は、思ったほど甘くはないということです。特に上位級では、相応の英語力がなければ合格点に手が届きません。
採点が甘いことを当てにして、ライティング対策を怠るのは得策とは言えないでしょう。評価基準は厳格に設定されているのであり、実力がなければ容赦なく不合格になってしまいます。
【コラム:合格への道は地道な努力あるのみ】
英検ライティング試験に合格するためには、正しい現状認識を持つことが大切です。「採点は甘い」などと楽観視するのは禁物だと言えるでしょう。
合格への道は、地道な努力の積み重ねにほかなりません。日頃から英文を「意識して」読み、「意識して」書く習慣をつけることが何より重要です。
文法や語彙の知識も大切ですが、本番では時間との勝負になります。制限時間内に、指示に沿った内容を過不足なく書けるスピード感も必要不可欠だと言えます。
ライティング対策では、とにかくアウトプットの量を増やすことを心がけましょう。たとえ完璧な文章が書けなくても、恐れずにどんどん英語で発信する。
「書く→間違いを修正する→また書く」のサイクルを繰り返し、着実に英作文力を高めていってください。その努力は必ず実を結び、合格への扉を開いてくれるはずです。
まとめ
英検ライティング試験の採点基準は、思ったほど甘くはありません。合格点を取るためには、相応の実力と対策が必要不可欠だと言えるでしょう。
ライティング対策では、自動採点アプリなども活用しつつ、日頃から英語で発信する機会を増やすことが何より重要です。「甘い採点」を当てにするのではなく、地道な努力を重ねる姿勢を忘れずに。
英検の合格は、一朝一夕では成し遂げられません。しかし、正しいマインドで着実に学習を積み重ねていけば、必ずその日は訪れるはずです。
英検ライティング試験に臨むみなさんの健闘を、心より祈っています。
おすすめ情報
項目 | 詳細 |
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参考書 | 『英検ライティング 合格への最短ルート』各級(アルク) |
問題集 | 『英検 ライティング問題集』各級(旺文社) |
単語帳 | 『英検 でる順パス単』各級(旺文社) |
英作文アプリ | 『スタディサプリENGLISH ライティング』(リクルート) |
自分のレベルと目標に合った教材を選び、効率よく学習を進めていきましょう。
英検ライティング試験の合格に向けて、一緒に頑張っていきましょう!