英検のライティング試験は、多くの受験者にとって最も難易度が高い科目の一つです。限られた時間内で、与えられたトピックについて英語で文章を書くのは容易ではありません。
特に、自分の英文がどのように評価されるのかが分からないと、対策に不安を感じる人も少なくないでしょう。「英検ライティングの採点基準は甘いのでは?」「採点方法がよく分からない」といった声をよく耳にします。
そこで本記事では、英検ライティング試験の採点基準について詳しく解説していきます。級ごとの評価ポイントや減点対象を把握することで、より効果的な対策を立てることができるはずです。
英検ライティング試験の概要
まずは、英検ライティング試験の概要を確認しておきましょう。各級の出題形式と評価の目安は以下の通りです。
級 | 出題形式 | 制限時間 | 字数制限 | 配点 |
---|---|---|---|---|
5級 | 語順整序問題 | 5分 | – | 25点 |
4級 | 自由英作文 | 30分 | 25語程度 | 15点 |
3級 | 自由英作文 | 30分 | 50〜60語 | 10点 |
準2級 | 自由英作文 | 40分 | 100〜120語 | 20点 |
2級 | 自由英作文 | 50分 | 140〜160語 | 25点 |
準1級 | 自由英作文・資料読解型 | 45分 | 200〜240語 | 28点 |
1級 | 自由英作文・資料読解型 | 60分 | 280〜320語 | 40点 |
※5級はマーク形式の問題のため、本記事では4級以上を中心に解説します。
英検ライティング試験では、級が上がるにつれて制限時間と字数制限が増え、配点も高くなっていきます。
4級から2級までは自由英作文形式のみですが、準1級と1級では資料読解型の出題も加わります。それぞれの形式で求められるライティング力は異なるため、級ごとの採点基準をしっかり理解しておくことが大切です。
英検ライティングの採点方法
英検ライティングの採点は、どのように行われているのでしょうか。ここでは、採点の流れと評価の観点について解説します。
採点の流れ
英検ライティングの採点は、以下のような流れで行われます。
- 受験者が解答用紙に英作文を書いて提出
- 解答用紙がデジタルデータ化され、採点者に送られる
- 採点者が設問ごとに定められた採点基準に沿って採点
- 複数の採点者の評価を集計し、最終的な得点を算出
採点は、英検協会が認定した専門の採点者が担当します。採点者は受験者の英文を入念に読み込み、文法や語彙、内容、構成など多角的な視点から評価を行います。
また、近年ではAIを活用した自動採点システムの導入も進んでいます。一部の級ではAIによる採点と人間の採点を組み合わせたハイブリッド方式が取り入れられています。
評価の観点
英検ライティングの採点では、以下のような観点から評価が行われます。各観点の配点割合は級によって異なります。
評価項目 | 説明 |
---|---|
課題達成度 | 与えられた課題を適切に理解し、指示に沿った内容が書けているか |
構成 | 全体の構成が論理的で、内容が一貫しているか |
語彙・表現 | 適切な語彙が選択され、トピックに即した表現が使われているか |
文法・スペリング | 文法的な誤りが少なく、スペリングミスがないか |
どの級でも、課題の指示に沿っていることが最も重視されます。字数オーバーや課題と無関係な内容は大きな減点対象となるので注意が必要です。
また、上級になるほど語彙力や表現力、論理的思考力が問われるようになります。単に英語で文章が書けるだけでなく、説得力のある主張を論理的に展開する力が求められます。
【解説】英検ライティングの採点は甘い?
「英検ライティングは採点が甘い」「ちゃんと書かなくても合格点がもらえる」といった声を耳にすることがあります。果たして実際はどうなのでしょうか。
結論から言えば、一概に「甘い」とは言えません。確かに、下位級では課題に沿った内容が書けていれば、文法の細かいミスは許容される傾向にあります。
しかし、級が上がるにつれて合格ラインも高くなっていきます。準1級や1級では、文法・語彙・構成・内容のいずれかに大きな欠陥があれば、合格点に届かない可能性が高いと言えるでしょう。
「採点基準が不明瞭」と感じる受験者も少なくありませんが、英検協会は一貫した基準で採点が行われていると説明しています。甘い採点を期待するのではなく、地道な対策を積むことが大切だと心得ましょう。
級ごとの採点基準と対策のポイント
では、具体的に級ごとの採点基準を見ていきましょう。各級の配点と評価ポイント、よくある減点対象を把握し、効果的な対策を立てましょう。
英検4級・3級のライティング問題
4級・3級のライティングは自由英作文形式で、身近なトピックについて書くことが求められます。
- 4級:25語程度の英文を30分で作成
- 3級:50〜60語の英文を30分で作成
評価の配点比率は以下の通りです。
- 課題達成度(内容): 50%
- 構成と論理展開: 30%
- 語彙・文法・スペリング: 20%
4級・3級では、与えられた課題に沿った内容を指定字数でまとめられるかがポイントです。複雑な構成や高度な語彙は必要ありません。簡単な英語で、自分の考えをわかりやすく述べることを心がけましょう。
文法の細かいミスは多少許容される傾向にありますが、基本的な文型は正しく使えるようにしておくことが大切です。スペリングミスにも注意が必要です。
【4級・3級によくある減点ポイント】
- 課題と無関係な内容を書いている
- 字数が大幅に足りない・超過している
- 基本的な文法の誤りが目立つ
- スペリングの誤りが多い
英検準2級のライティング問題
準2級は、日常的なトピックについて、まとまった分量の英文を書く力が問われます。
- 準2級:100〜120語の英文を40分で作成
評価の配点比率は以下の通りです。
- 課題達成度(内容): 40%
- 構成と論理展開: 30%
- 語彙・表現: 20%
- 文法・スペリング: 10%
準2級では、自分の主張とその理由を明確に書くことが重視されます。トピックセンテンス、理由や具体例を交えた本論、まとめの文で構成を整えるとよいでしょう。
また、適切な接続詞を使って文と文のつながりを意識することも大切です。because、for example、in additionなどの表現を使い分けられると、論理的な印象を与えられます。
語彙・表現については、トピックに応じた適切な言葉選びが求められます。日頃から、英字新聞やニュース番組に触れ、レベルの高い語彙を増やしておきたいですね。
【準2級によくある減点ポイント】
- 自分の主張が不明確
- 主張の根拠や理由が述べられていない
- パラグラフの構成が整っていない
- 文と文のつながりがスムーズでない
- 語彙のレベルが低い、語彙の誤りが目立つ
英検2級のライティング問題
2級では、社会的なトピックについて、論理的で説得力のある英文を書く力が問われます。
- 2級:140〜160語の英文を50分で作成
評価の配点比率は以下の通りです。
- 課題達成度(内容): 30%
- 構成と論理展開: 30%
- 語彙・表現: 25%
- 文法・スペリング: 15%
2級の出題トピックは、環境問題・教育・テクノロジーなど、やや専門的な内容も増えてきます。トピックに関する知識を蓄えておくことが、説得力のある主張につながります。
主張を裏付ける客観的な根拠を示しながら、一貫した論理展開を心がけることが重要です。パラグラフごとに論点を整理し、全体の構成を意識して書きましょう。
語彙・表現の評価割合が高いのも2級の特徴です。単語の繰り返しを避け、トピックに即した洗練された言葉を使いこなせると高得点が期待できます。
【2級によくある減点ポイント】
- 主張が一貫しておらず、論理が飛躍している
- 客観的な根拠や具体例が示されていない
- 全体の構成が整っていない
- トピックに即した適切な語彙が使われていない
- 文法の誤りが目立つ、スペリングミスが多い
英検準1級・1級のライティング問題
準1級・1級は、高度な英語運用能力が問われる試験です。社会的・学術的なトピックについて、論理的で説得力のある英文を書く力が求められます。
- 準1級:200〜240語の英文を45分で作成
- 1級:280〜320語の英文を60分で作成
評価の配点比率は以下の通りです。
評価項目 | 準1級 | 1級 |
---|---|---|
課題達成度(内容の妥当性・十分さ) | 43% | 50% |
構成(一貫性・論理性) | 29% | 25% |
語彙・表現・文法 | 28% | 25% |
準1級・1級の最大の特徴は、自由英作文に加えて 資料読解型英作文 が出題されることです。グラフや表などの情報を読み取り、それについて分析・考察する英文を書く問題です。
与えられた資料を正確に理解し、キーポイントを押さえた論述ができるかが重要になります。日頃から、英字新聞などで情報を読み取る練習を積んでおくとよいでしょう。
語彙・表現・文法の評価割合は他の級よりやや低めですが、レベルの高さは求められます。トピックに応じた専門的な語彙、洗練された表現、正確な文法の使い分けが欠かせません。
【準1級・1級によくある減点ポイント】
- 資料の読み取りが不十分で、的外れな内容になっている
- 字数が大幅に足りない・超過している
- 主張とその根拠が不明確で、説得力に欠ける
- 全体の構成が整っておらず、一貫性がない
- 語彙・表現のレベルが低い、語法の誤りが目立つ
1級・準1級のライティング採点基準は他記事でも詳しく紹介しています。
英検ライティングの採点サービス
自分の英作文力を客観的に評価してもらうために、オンラインの採点サービスを利用するのも効果的な方法です。実際の試験と同じ形式の問題に取り組み、AIや専門スタッフによる添削を受けられるサービスが増えています。
代表的なサービスを2つ紹介しましょう。
『スタディサプリENGLISH』英検ライティング対策コース
[スタディサプリENGLISH 英検ライティング対策コース]
%2Fstudybuddy%2F20210211%2F20210211115555.png)](https://www.studysapuri.jp/english/)
有名な学習アプリ『スタディサプリENGLISH』内のコースの一つです。4級から1級まで、全ての級に対応しています。
AIによる自動採点に加えて、英語上級者による添削指導も可能です。学習の進捗状況に合わせて、最適なフィードバックを受けられる点が魅力と言えるでしょう。
『英ナビ!英検ライティング練習』サイト
英検対策に特化した学習サイト『英ナビ!』の英検ライティング練習コーナーです。3級から1級まで、全ての級の過去問や予想問題に無料で取り組むことができます。
講師による詳しい解説動画や、答案の添削オプションも用意されています。本番さながらの演習を通して、自分の弱点を知る手助けになるはずです。
ただし、これらの採点サービスはあくまで参考程度に活用するのが賢明です。特にAIによる評価をそのまま鵜呑みにするのは禁物です。最終的には自分の頭で考え、表現する力を磨くことが何より大切だと心得ておきましょう。
添削サービスは別記事でも詳しく紹介しています。
【コラム】英検ライティング試験当日の心構え
英検ライティング試験の当日、多くの受験者を悩ませるのが時間配分の問題です。制限時間内にどう進めていけばよいか、イメージを持っておくことが大切です。
まず、試験開始のチャイムが鳴ったら、落ち着いて問題文をしっかりと読みましょう。設問の指示を細部まで理解することが、高得点への第一歩 だと言えます。
続いて、出題されたトピックに合わせて、簡単なアウトラインを作ります。全体の構成を意識し、論点を整理する ことで、書き進めやすくなるはずです。
実際に英文を書き始めたら、時間との勝負です。まずは 思いついたことを素早く書き出す ことを心がけましょう。多少の誤りは気にせず、とにかく書き進めていきます。
残り5分ほどで書き終えたら、最後に 推敲の時間を必ず取る ようにしてください。文法ミスや誤字脱字がないかチェックし、必要に応じて表現を整えます。
時間との戦いに焦りを感じることもあるかもしれませんが、あきらめずに自分の力を信じることが大切です。日頃の努力を信じて、ベストを尽くせば必ず道は開けるはずです。
まとめ
英検ライティング試験の採点基準は、級によって異なる評価ポイントや配点割合が設定されています。合格のためには、それぞれの級で求められる力を着実に身につけていく必要があります。
下位級では、設問の指示に沿って基本的な英文が書けるかがポイントです。上位級になるほど、論理的思考力や表現力が重視され、高度な英語運用能力が問われます。
ライティング対策では、自動採点サービスなどを活用しながら苦手分野を克服していくのも有効な方法だと言えるでしょう。ただし、あくまで補助的なツールと割り切ることが肝心です。
日頃から「意識して」英文を読み、「意識して」英語で発信する機会を増やしていくことが、ライティング力向上の一番の近道だと言えます。
英検の採点基準に振り回されることなく、自分の言葉で堂々と表現できる力を養っていきましょう。地道な努力の先に、必ず合格の栄冠が待っているはずです。
おすすめ情報
項目 | 詳細 |
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問題集 | 『英検ライティング 徹底演習』シリーズ(旺文社) |
表現集 | 『英検 ライティングで使える!表現&フレーズ600』(アルク) |
英作文参考書 | 『英検合格への道』シリーズ(朝日新聞出版) |
過去問題集 | 『英検 過去6回全問題集』各級(旺文社) |
日々の地道な学習の積み重ねが、英検ライティング試験突破の鍵を握っています。 効果的な教材を活用しながら、着実に実力を伸ばしていきましょう。
みなさんの英検合格を心よりお祈りしています。