英検1級のライティング試験は、最高レベルの英語力が問われる超難関の試験です。60分という限られた時間内で、与えられたトピックについて280〜320語の英文を書くことが求められるため、高度な英語運用能力と論理的思考力が必要不可欠です。
中には「英検1級のライティングの採点は甘いのではないか」「25点以上を取るのは至難の業では?」といった声も聞かれます。実際のところ、英検1級ライティングの採点基準とはどのようなものなのでしょうか。また、高得点を取るためにはどのような対策が必要なのでしょうか。
本記事では、英検1級ライティングの採点方法や評価ポイントについて詳しく解説するとともに、高得点を狙うためのコツをお伝えします。
英検全体の採点基準は他の記事で詳しく紹介しています。
英検1級ライティング試験の概要
英検1級のライティング試験では、以下のような出題形式・制限時間・字数制限で、英作文が課されます。
出題形式 | 制限時間 | 字数制限 |
---|---|---|
自由英作文 / 資料読解型英作文 | 60分 | 280〜320語 |
自由英作文形式の場合、与えられたトピックについて自分の意見を論じる必要があります。一方、資料読解型英作文の場合は、与えられた英文資料を読んで、設問に沿った英作文をする必要があります。
どちらの形式でも、与えられたトピックや設問に対して、論理的かつ説得力のある英文を書くことが求められます。単なる意見の羅列ではなく、客観的な根拠を示しながら議論を展開する力が問われるのです。
英検1級ライティングの採点方法と評価ポイント
英検1級ライティングの配点は40点満点で、以下の3つの評価項目に基づいて採点が行われます。
- 課題遂行・開発(20点)
- 与えられたトピックに対して的確に答えているか
- 十分な量の内容が書かれているか
- 論点が明確で、一貫性のある主張が展開されているか
- 構成(10点)
- 全体の構成が論理的で、効果的に組み立てられているか
- 段落間の繋がりがスムーズで、一貫性が保たれているか
- 語彙・文法・スタイル(10点)
- 豊富で適切な語彙が使用されているか
- 文法的な誤りが少なく、正確な英文が書けているか
- 文体が学術的で、トピックに即したものになっているか
上記3項目の総合点で30点以上を取ると合格となります。
【コラム】英検1級ライティングの採点は甘い?
英検1級ライティングの採点基準は、上級レベルの英語力を測るために設計されています。単に「文法的に正しい英語」を書けるだけでは高得点は望めません。
英検1級の合格ラインは30点ですが、これは満点の75%に相当します。つまり、4つに3つは確実に得点できるレベルの英語力がないと合格は難しいということです。
実際、英検1級ライティングの平均点は20点前後だと言われています。25点以上の高得点を取るには、相当の実力と練習量が必要不可欠だと言えるでしょう。
「英検1級のライティングは採点が甘い」というのは、単なる幻想に過ぎません。合格を狙うなら、地道な対策を積み重ねることが何より大切だと心得ておきましょう。
英検1級ライティングの減点対象
英検1級ライティングでは、以下のようなミスが大きな減点対象となります。
- 課題とずれた内容、字数不足・超過
- 与えられたトピックから大きく逸脱した内容を書いていないか
- 指定の字数からあまりにもかけ離れていないか
- 論理展開のなさ、一貫性のなさ
- 主張とその根拠が明確でなく、論理が飛躍していないか
- 全体の一貫性が損なわれるような唐突な論点の展開はないか
- 語彙・文法の誤り、不適切な文体
- 語彙の選択が不適切だったり、語彙数が乏しくないか
- 文法的な誤りが目立ち、英文として不自然になっていないか
- 会話的すぎたり、逆に堅苦しすぎる文体になっていないか
これらのミスは、英文の質を大きく低下させ、説得力を損ねる原因となります。
減点を避けるためには、設問をしっかりと読み込み、論理的で正確な英文を心がける必要があります。時間配分にも気をつけ、読み返す時間も忘れずに確保しましょう。
英検1級ライティングの自動採点・添削サービス
近年、英検1級ライティング対策の一環として、自動採点や添削サービスを利用する人が増えています。
オンライン上のシステムに英文を提出すると、AIが瞬時に採点やフィードバックをしてくれるサービスです。実際の試験と同じ形式の問題に取り組めるため、客観的に自分の力を測ることができます。
代表的なサービスとしては、以下のようなものがあります。
『スタディサプリENGLISH』英検1級ライティング対策コース
有名な学習アプリ『スタディサプリENGLISH』内のコースの一つです。過去問や予想問題に取り組むことができます。
AIによる自動採点に加えて、英語上級者による添削指導も可能です。プロのアドバイスを受けつつ、ライティング力を客観的に把握できるサービスと言えるでしょう。
『英ナビ!英検ライティング練習』サイト
英検対策に特化した学習サイト『英ナビ!』の英検ライティング練習コーナーです。1級の過去問や予想問題に無料で取り組むことができます。
AIによる自動採点に加えて、講師による詳しい解説動画も用意されています。また、自分の答案を添削してもらうオプションサービスもあります。実戦形式の練習を積みたい人におすすめです。
【体験談】英検1級ライティング対策にAI添削は有効?
英検1級の2次試験を控えた私は、ライティング対策の一環としてオンラインの添削サービスを利用してみました。自分で書いた英文を提出し、AIと英語ネイティブ講師から評価コメントをもらえるサービスです。
結論から言うと、かなり効果を感じることができました。AIによる即時のフィードバックで、英文のおおよその質がすぐに把握できます。語彙・文法・構成など、多角的な観点からアドバイスがもらえるのも魅力的でした。
一方、講師による添削では、より具体的で踏み込んだコメントがもらえます。論理展開の改善案や、説得力を高めるための表現の工夫など、プロの視点からの的確な指摘は非常に参考になりました。
ただし、AIの評価はあくまで参考程度と割り切ることが大切だと感じました。時には的外れなフィードバックが返ってくることもあるので、鵜呑みにしすぎないよう注意が必要です。
講師添削と組み合わせつつ、最終的には自分の頭で考える力を養うことが何より重要だと実感しました。AI任せにせず、能動的にライティング力の向上を目指していきたいと思います。
英検1級ライティングで高得点を取るためのコツ
最後に、英検1級ライティングで高得点を狙うためのコツを3つ紹介しましょう。
コツ1. 設問文を細部まで読み込む
英検1級のライティング問題では、トピックに加えて細かい指示が多数設問文に含まれています。
「賛成・反対を明確にせよ」「具体例を2つ挙げよ」など、論述に必要な要素が明示されているケースが少なくありません。これらの指示を漏れなく抑えることが、高評価への第一歩だと言えます。
問題文は時間をかけて読み込み、本文で書くべきポイントを余すところなく拾い上げましょう。
コツ2. モデル英文を研究し、表現を盗む
1級レベルの英文を書くためには、スコアの高いモデル英文に数多く触れる必要があります。
過去の合格答案や、英字新聞・英語雑誌の記事など、質の高い英文をたくさん読むことで、英語の表現力は大きく磨かれます。単に読むだけでなく、優れた表現や文章構成を積極的に「盗む」つもりで分析してみましょう。
自分の引き出しに、たくさんの表現を蓄えることができれば、実際のライティングが格段にスムーズになるはずです。
コツ3. アウトプットの量を増やす
ライティング力は、インプット(読解)だけでは決して伸びません。最も効果的なのは、とにかくたくさん英文を「書く」ことです。
英検1級の過去問や予想問題に数多く取り組むのはもちろん、日常的に英語で文章を書く習慣をつけることが大切です。ブログやSNSで英語を使ったり、ペンパルと英語でメールをしたりするのも良いでしょう。
量を重視するあまり、英文の質を疎かにしないよう注意は必要ですが、アウトプットの訓練を積むことがライティング力アップの近道だと心得ておきましょう。
まとめ
英検1級ライティング試験は、上級レベルの英語運用能力が問われる難関試験です。合格のためには、設問文の指示を的確に理解し、論理的かつ説得力のある英文を書く力が必要不可欠だと言えるでしょう。
ライティング対策では、自動採点や添削サービスを有効活用しつつ、日頃から質の高い英文を「意識して」読み、「意識して」書く努力を重ねることが何より肝要です。
英検1級ライティングの点数は、採点者の主観に委ねられる部分が大きいのは事実です。しかし、だからと言って採点基準が甘くなることは決してありません。
真の英語力を身につけるための地道な対策を怠らず、当日は自信を持って臨みましょう。
満点こそ狙えなくとも、堂々とした英文を書ける力は必ず身につくはずです。
おすすめ情報
項目 | 詳細 |
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参考書 | 『英検1級 ライティング 合格への道』(アルク) |
問題集 | 『英検1級 ライティング 実戦問題集』(旺文社) |
単語帳 | 『英検1級 でる順パス単』(旺文社) |
英文法書 | 『総合英語Forest』(桐原書店) |
これらの教材を活用しつつ、着実にライティング力を向上させていきましょう。
みなさまの英検1級合格を、心よりお祈り申し上げます!